検体検査の業務
血液検査
シスメックスXN3000、積水CP3000を使用し交代で4~5名の技師が検査に携わっています。
・血液中には赤血球や白血球、血小板などの細胞成分があります。これらの数を測定して、貧血が起きていないか、身体の中で炎症反応が起きていないか、止血の機能がうまく働いているかを調べます。
・白血球はさらに5種類に分類されます。どの白血球が増えているかを検査することで、どのような炎症が起きているかを調べることができます。また、異常な細胞がないかも調べています。
・凝固機能(血液を固まらせる機能)や線溶系の機能(血栓を溶かす機能)も調べます。
輸血検査
バイオラッドIH-500を使用し血型や不規則抗体などを検査しています。交代で3~4名の技師が検査に携わっています。
・貧血や出血があった場合、血液製剤を輸血することがあります。その際、実際に患者様の血液と使用する血液製剤を混ぜ合わせて、異常な反応が起きないかを確認します。
・輸血検査は患者様の命に関わる検査であるため、慎重かつ迅速な検査を心がけています。
・輸血に使う製剤は、間違いがないように検査技師と看護師で必ずダブルチェックを行います。
生化学検査
日本電子BM6050 2台、東ソーHLC723-G9 2台、フジドライケムNX500iを使用し、交代で4~5名の技師が検査に携わっています。
・生化学検査では、主に血清や尿を検体として扱っています。
・生化学検査ではたくさんの項目を取り扱いますが、主に以下のような項目があります。
肝機能の検査 |
AST、ALT、γ-GTP、ビリルビンなど |
腎機能の検査 |
尿素窒素、尿酸、クレアチニン、尿中蛋白など |
糖尿病の検査 |
血糖、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、尿糖など |
脂質の検査 |
中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールなど |
免疫検査
ARCHITECT PLUS i2000 2台を用いて検査をおこない、交代で4~5名の技師が検査に携わっています。
・免疫とは、外部から侵入してくる抗原(細菌やウイルス)に対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされるときに作られる抵抗物質が抗体です。この抗体や抗原を調べることで、感染症にかかっているか、または感染したことがあるかを調べます。
・その他にも、女性ホルモンや甲状腺ホルモン、心機能の検査(BNP、トロポニン)、癌の診断や治療の評価に有効な腫瘍マーカー、薬物の血中濃度を測定しています。
尿一般検査
栄研化学US3500、シスメックスUF5000、アークレイOSM6060、大塚製薬POConeを用いて検査を行い、交代で4~5名の技師が検査に携わっています。
・一般検査では、尿検査、便検査、髄液検査、穿刺液(胸水、腹水、関節液)検査などを行っています。
尿検査
機械や顕微鏡を使って尿中の成分を調べます。
尿は代謝終産物を含み、また病的状態では正常で出現しない物質が尿中に現れるので、尿検査は腎、尿路系、肝、内分泌系などの全身性疾患の診療にも重要です。
定性試験
試験紙を用いて実施します。
検査項目:蛋白、pH、潜血、比重、ケトン体、ビリルビン、糖、ウロビリノーゲン、白血球、亜硝酸塩
沈渣
遠心後、顕微鏡で尿中の有形成分を観察します。
尿沈渣中にみられる成分:赤血球、白血球、上皮細胞、細菌、円柱、結晶など
便中ヘモグロビン検査
この検査は、便に血液が混ざってないか検査し、大腸がんをはじめとした消化管の出血性病変のスクリーニングテストとして使用されています。
寄生虫検査
直接塗抹法:糞便中の虫卵などを顕微鏡で観察し寄生虫感染の診断を行っています。
セロファンテープ法:蟯虫卵の検出に使用しています。
細菌検査
当院細菌室は、院内塗抹検とBDBACTEC9240とFXを用いて血液培養(陰性結果報告のみ)を行っています。
現在、新病院移転時の細菌検査室で培養を行う事を予定として、知識・技術研修に取り組んでいます。
4~5名の技師が検査に携わっています。
・感染症を引き起こす微生物には、細菌、原虫、真菌、ウイルスなどがいます。
細菌検査は、これらの患者様の感染症の原因となっている菌を調べています。
・検査対象となる材料は、喀痰、尿、血液、便などです。
これらを顕微鏡で観察し、どのような細菌がいるか調べることで診断に役立てています。
細菌検査
この機器で血液を培養して血液中に菌がいないかを調べます
生理検査では、身体の生理的反応や機能をグラフ化、画像化する検査です。検査は、循環器や呼吸器、消化器、神経など様々な臓器を対象としています。
心電図、運動負荷、トレッドミル、CPX
心電図
心電図とは、心臓が動くときに心筋から発せられる微弱な電流を体の表面から記録したものです。記録された波形の変化、リズムの変化などから虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)や不整脈(期外収縮や心房細動など)がないかを調べます。
運動負荷心電図
不整脈の中には、運動に伴って心電図の波形変化が起き、自覚症状が現れるものがあります。運動負荷心電図では、①決まった距離を全力で歩いてもらう(歩行負荷)、②階段を決まった時間内に決まった回数を昇降してもらう(マスター負荷)ことで心臓に負荷をかけ、運動前と後で心電図に変化がないか、症状が出現しないかを検査します。
さらに負荷の強い検査としてトレッドミル検査・CPX(心肺運動負荷試験)があります。これらの検査は、医師の監督のもと行われ、運動中も心電図と血圧をモニタリングし続けます。
トレッドミル検査
運動することで不整脈が増加、狭心症の虚血性変化が出現しないか調べます。
CPX検査
トレッドミル検査の内容に加え、専用のマスクをつけて呼気ガス分析も行います。運動に対する身体の応答には個人差がありますが、この検査によって患者様1人1人に適した運動の強さ、無理せず安全に運動できる強さを知ることができます。
呼吸機能検査(SVC、FVC、FRC、DLco)
息を大きく吸ったり吐いたりして、肺から出入りする空気の容量や息を吐く速度を調べます。また、HeやCOガスを用いて、息を最大に吐き出した後に肺内に残った空気量や、肺内に取り込んだ空気がどれだけ血管内に移行しやすいかなどの肺機能を調べることができます。
呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)の有無や治療効果の判定、大きな手術(特に全身麻酔をかける手術)が予定されている患者様の肺機能のリスク評価の為に用いられます。技師の声掛けに合わせて、精一杯、呼吸をして頂かないと正常値にはとどきません。患者様の協力が必要な検査なので、全力で検査に望んで頂きます。
神経検査(神経伝導検査、脳波検査)
神経伝導検査
手や足に弱い電気刺激を与え、刺激の伝わる速さを測定します。神経障害の有無や程度、また障害の起きている部位を知ることができます。手足の痺れや麻痺、力が入りにくい、手足の筋肉がやせてきた等の症状があり、神経障害が疑われる場合に行います。
脳波検査
脳の中では、常に微弱な信号(脳細胞の興奮)が発生しています。それを波として記録してどんな成分の波が、どの程度出現しているかを調べます。頭皮にクリームで電極をつけてベッドに横になっていただき、検査中は目を閉じて安静にしてもらいます。可能であれば3つの賦活(開閉眼、光刺激、過呼吸)をやっていただき、賦活に伴う脳波の変化も記録していきます。脳波検査は、てんかんや脳機能障害の有無、意識障害の程度、脳炎などが疑われる時に行われます。
エコー検査
腹部エコー
腹部の臓器の大きさや形に異常がないかサイズを測ったり、臓器の中に腫瘍や結石がないか、また、炎症がないかなどを調べます。主な観察臓器は肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣であり、条件が良ければ消化管(虫垂を含む)の観察も可能です。
食後は消化管内に空気がたまり、腹部臓器がよく見えませんので、絶食の状態で検査すると見えやすいです。また、膀胱を検査する場合は、尿がたまっている方が詳しく観察できるので、検査前の排尿はできる範囲で我慢していただきます。
乳腺エコー
乳腺の状態や腫瘤ができていないか、リンパ節が腫れていないかなどを調べます。腫瘤によっては良性か悪性かの鑑別に役立ちます。搾乳中や妊娠中でも検査可能です。
〇乳房から腋窩にかけて観察するため、ゼリーで衣服を汚さないよう検査着に着替えてもらいます。食事の制限はありません。
甲状腺エコー
甲状腺のサイズを計測して、腫れて大きくなっていないか、機能が落ちて小さくなっていないか調べます。また、甲状腺の中に腫瘍ができていないか、その大きさなどを調べます。
また、甲状腺近くの副甲状腺という臓器が腫れていないか同時に見ることもできます。
関節エコー
関節の組織が腫れて関節炎を起こしていないか、関節液がたまっていないか調べます。
特に関節リウマチの患者様の関節炎の程度や治療効果の評価に用いられます。
バスキュラーラボで実施するエコー検査
バスキュラー(心血管)ラボ(検査室)は、心臓や血管疾患を専門に扱う検査室です。
血管は全身を張り巡っています。バスキュラーラボでは、大動脈、心臓、脳動脈、腎臓、上肢動脈/静脈、下肢動脈/静脈など多くの血管系を検査の対象としています。
心臓エコー検査
肋骨の間からプローブを押し当てて検査します。心臓の動きや弁の動き、大きさ、血流など評価し、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、大動脈解離、先天性心疾患、肺高血圧症などの疾患がないか調べます。また、薬剤(ドブタミン、ATP)を投与して心臓に負荷をかける薬剤負荷心臓超音波検査も行っています。
経食道心臓エコー検査
通常の心臓エコー検査は体表面からプローブをあてて検査を行いますが、骨や肺の影響で見えづらい部分があります。経食道心臓超音波検査は、心臓のすぐ後ろにある食道から観察するため、骨や肺などに遮られることなく心臓を見ることができ、より詳細な観察ができます。通常の心臓エコー検査では見えづらい心臓内の血栓や腫瘤を調べるたり、弁膜症の手術適応を決める場合に有効な検査です。
頸動脈エコー検査
超音波で頸動脈の壁の厚みを測り動脈硬化の程度を調べます。また、頸動脈の動脈硬化による沈着物は脳梗塞の原因となる場合があり、脳梗塞のリスクとなる動脈硬化や頸動脈狭窄がないかも調べることができます。
下肢動脈エコー検査
足の血管の動脈硬化が進み、血管が細くなったり詰まったりすると、血流が悪くなり歩行時に足の痺れや痛みが出ることがあります。これを閉塞性動脈硬化症といい、ひどくなると安静時にも痛みが出たり、潰瘍ができたりします。この検査では、足の血管に細い部分やつまりがないか調べることができます。
下肢静脈エコー検査
下肢の静脈に血栓ができて血管が詰まってしまうと、血液の流れが悪くなり血液がたまって足が腫れてしまいます。また、この血栓が血管からはがれて血流にのり、肺の動脈が詰まると胸の苦しさや痛み、時には突然死をきたすことがあります。下肢静脈のエコー検査では、静脈内の血栓や静脈瘤の有無を調べます。
シャントエコー
良好な血液透析を行うため、透析患者様のシャント(バスキュラーアクセス)に狭窄や閉塞、血栓等がないか調べます。また、推定血液量の推定も行います。