呼吸器内科

診療科・部門

呼吸器内科

概要

呼吸器内科の診療領域は多岐にわたります(図1.)。当科は2007年9月より日本呼吸器学会認定施設として認定され、日本呼吸器内科学会指導医、専門医、専攻医、研修医によるグループ診療を行っています。さらに、看護師、呼吸療法士、理学療法士、薬剤師、栄養師、がん専門看護師とのチーム医療により専門的かつ高度な呼吸器疾患診療を地域の患者さんに提供しています。

図1:呼吸器内科の診療領域

特徴

当院は社会医療法人・地域医療支援病院として、県南部地区の24時間受け入れが可能な救急室を有する病院です。診療内容は、急性期呼吸器疾患、ICUにおける高度な呼吸管理から、近年飛躍的に進歩している進行肺がんの診断と治療(遺伝子パネル検査、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)、幅広い間質性肺炎の診断と治療(抗線維化薬)、難治性や重症喘息患者さんへの生物学的製剤による治療、種々の呼吸器感染症(重症肺炎、ニューモシスティス肺炎、非結核性抗酸菌症、慢性肺アスペルギルス症、COVID-19肺炎など)、その他希少肺疾患(サルコイドーシス、肺胞蛋白症、肺ランゲルハンス組織球症など)の診断と治療などを行っています。さらに、睡眠時無呼吸症候群へのCPAP、慢性期呼吸器疾患への在宅酸素療法(HOT)、マスクによる非侵襲的人工呼吸(NPPV)、在宅人工呼吸療法の導入による病診連携治療も行っています(図2.)。

図2:友愛医療センター 呼吸器内科の診療内容リスト

当科は近隣の病院、診療所との病診連携により呼吸器疾患紹介患者さんの精査、入院治療および逆紹介を行い地域医療に貢献することを使命としています(図3.)。

図3:友愛医療センターの病・診連携と病・病連携

治療

呼吸器救急

(図4.)当院は24時間365日、救急室が機能しています。喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、市中肺炎、間質性肺炎の急性増悪、気胸などの急性呼吸器疾患を多数治療しています。呼吸器内科の入院は、救急室を介する入院が8割程度を占め、重症喘息増悪、COPD増悪、市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)などパスによる治療プロトコールは統一され、標準的治療を行っています。大量喀血に対しては、放射線科医と協力して緊急気管支動脈塞栓術(BAE)も可能です。

図4:呼吸器救急について

肺炎

肺炎は日本人死因の第3位(2011年より)であり、重要な疾患です。成人肺炎は市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)、院内肺炎(HAP)に部類されます(図5.)。基礎疾患がない又は軽微な方におこる市中肺炎、何らかの基礎疾患を有し、医療や介護の対象となっている方に起こる医療・介護関連肺炎(図6.)、入院中の患者さんに発生するものを院内肺炎と称します。それぞれ患者背景や原因微生物の種類が異なっていることがあり、正しい診断と治療が必要になります(図7.)。

図5:肺炎について
図6:医療・介護関連肺炎(NHCAP)の定義
図7:当課における主な肺炎・肺結核・非結核性抗酸菌症など

肺がん診断・治療

HRCT、PET/CTによる画像診断と、気管支鏡検査(超音波検内視鏡下生検: EBUSも可能)、内科医による胸腔鏡下胸膜生検による組織診断を行います。小型病変では、呼吸器外科医による胸腔鏡下肺生検(VATS)が可能です。近年めざましく進歩している進行肺がんの診断や治療において、非小細胞肺がんでは組織診断のみでなくがん遺伝子解析でのがんゲノム診断が必要です。そのため、遺伝子パネル検査を積極的に行っています。また免疫治療のためにPD-L1抗体も積極的に測定して治療薬剤の決定に役立てています。そのため病理医が常駐し迅速な組織診断を行っています。進行肺がんでは外来での化学療法や分子標的薬による治療、がんの免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤:ICI)、免疫複合療法(抗がん剤+免疫療法)、複数の免疫療法などを行っています。がん性胸水に対してはタルク胸膜癒着術も行っています。肺がん放射線治療は、常駐の放射線専門医が行っています(脳照射、胸部照射、疼痛への緩和照射など)。

進行肺がん治療に関しては、がん特定看護師、がん特定薬剤師、栄養士、呼吸リハ理学療法士、MSW(メディカルソーシャルワーカー)などがチーム医療で治療に関わります。緩和治療については緩和療法専任医師も常駐しています。

間質性肺炎の診断・治療

肺の間質と呼ばれる肺胞(隔)壁に、「炎症」や「線維化」をきたす間質性肺炎という疾患群があります(図8.)。その原因は多岐にわたり、診断や治療は非常に困難を要する重要な疾患です。最も多いのは原因不明で(約4割程度)、その他原因の明らかな間質性肺炎が多数あり(図9.10.)、診断や治療には呼吸器内科医の専門的な診断と治療が必要となります。

図8:肺の間質とは?:間質性肺炎とはの解説図
図9:びまん性肺疾患(間質性肺炎)
図10:びまん性肺疾患:両肺野にびまん性の陰影が広がる疾患群

原因不明の間質性肺炎(特発性)はもちろんですが、当院は膠原病、関節リウマチの患者さんも多く、多くの膠原病に伴う間質性肺炎の診断と治療を行っています。膠原病・リウマチ科と連携して診断、治療が可能で、必要時は外科的肺生検(VATS)による診断も行っています。近年、特発性間質性肺炎(肺線維症)のみでなく、種々の「進行性線維化を伴う間質性肺疾患」において、疾患の進行や急性増悪を抑える「抗線維化薬」が有効であることがわかり、その保険適用拡がりました(図11.)。当院でも積極的な治療を推進しています。その他、アスベストに伴う間質性肺炎などのじん肺にも対応しています。

図11:進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)について

慢性呼吸不全・睡眠時無呼吸症候群

慢性呼吸不全や睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、地域登録医と連携して在宅酸素療法(HOT)、マスクによる非侵襲的人工呼吸(NPPV)治療、CPAP療法、在宅人工呼吸療法、在宅ハイフローセラピー(NHF)を実施しています。呼吸療法士、理学療法士、訪問看護チーム、栄養士、薬剤師、MSW、機器管理会社と協力した多職種でのチーム医療を実践しています(図12.)。

図12:多職種連携による慢性呼吸不全の治療について

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