がん治療と妊娠・出産
近年がん診療の進歩と共に、がんの早期発見・早期治療が可能になりました。このことで多くの若い世代の方々が、がんを克服できる時代となってきました。がん治療後の長い人生と向き合う時代がやってきたわけです。しかし、がんに対して行う手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法等により、卵巣・精巣等の臓器はダメージを受けやすく、妊娠力が低下することがあります。がん治療をしっかりと受けながらも、妊娠する力を守っていく治療が「妊よう性温存療法(がん生殖医療)」です。若い世代の方々の将来への不安を少しでも取り除き、がん治療に向き合い、がんを克服できるよう、友愛医療センター「がん支援相談室」で相談窓口を設けています。まずは、ひとりで悩まずにご相談ください。
妊よう性温存療法の流れ
【男性】
- 精子凍結
〈内容〉採取した精子を凍結する。
〈処置日数〉当日〜数日以内
【女性】
- 卵子凍結
〈内容〉採取した卵子を未受精で凍結する。
〈処置日数〉2〜6週間 - 受精卵(胚)凍結
〈内容〉採取した卵子をパートナーの精子と受精させ、凍結する。
〈処置日数〉2〜6週間 - 卵巣組織凍結
〈内容〉手術により卵巣組織を採取し、凍結する。
〈処置日数〉1〜3週間
妊よう性温存療法助成事業
更新日:2024年3月6日
沖縄県では、43歳未満でがん等の治療をされている方に「妊よう性温存治療」及び「温存後生殖補助医療」に要する費用の助成を行なっています。助成を受けるためには、患者さん専用アプリ「3H P-Guardian(愛称:FSリンク)」 をダウンロードする必要があります。
スマートフォン・アプリのインストール
ストアからアプリ「3H P-Guardian(愛称:FSリンク)」 をインストールしてください。
●Androidの方はこちらからダウンロード
●iphoneの方はこちらからダウンロード
▼アプリの操作方法は下記の動画をご覧ください。
助成の対象者
次の1〜6の全てを満たす方が助成の対象となります。
- 沖縄県内に住所を有する方(助成申請時)
- 43歳未満の方(対象となる妊よう性温存療法に係る治療の凍結保存時)の方
- 次のいずれかに示す原疾患の治療を必要とする方
・「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン」(一般社団法人日本癌治療学会)の妊孕性低下リスク分類に示された治療のうち、高・中間・低リスクの治療
・長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患
・造血幹細胞移植が実施される非がん疾患(再生不良性貧血、遺伝性骨髄不全症候群など)
・アルキル化剤が投与される非がん疾患(全身性エリテマトーデス、ループス腎炎など) - 県知事が指定する妊よう性温存療法指定医療機関の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、妊よう性温存療法に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる者(ただし、子宮摘出が必要な場合等、本人が妊娠できないことが想定される場合は除く)
- 妊よう性温存療法指定医療機関から妊よう性温存療法を受けること及び本事業に基づく研究への臨床情報等の提供をすることについて説明を受けた上で、本事業に参加することについて同意した方
- 本事業の対象となる費用について、他の都道府県が実施する国の小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業実施要綱に基づく助成を複数回受けていない方、またはその他国又は地方公共団体の負担による助成を受けていない方
助成対象の治療と助成上限額等
以下の妊よう性温存療法に対して助成が行われます。通算2回まで助成が受けられます。
対象治療 | 1回あたりの助成上限額 |
---|---|
胚(受精卵)凍結に係る治療 | 35万円 |
未受精卵子凍結に係る治療 | 20万円 |
卵巣組織凍結に係る治療 | 40万円 |
精子凍結に係る治療 | 2万5千円 |
精巣内精子採取術による精子凍結に係る治療 | 35万円 |
- 助成対象となる費用は、令和3年4月1日以後に、妊よう性温存療法及び初回の凍結保存に要した医療保険適用外費用とする。
- ただし、入院室料(差額ベッド代等)、食事療養費、文書料等の治療に直接関係のない費用及び初回の凍結保存費用を除く凍結保存の維持に係る費用は対象外とする。
- 助成事業の詳細は下記のホームページからご確認ください。
がん治療と妊娠・出産についての相談
当院では、がん患者さんの妊娠・出産や治療などの相談をお受けしています。がん治療を受けられる患者さん・ご家族で、将来子どもをもつことに不安や悩みを抱えているようでしたら、一度当院にご相談ください。当院以外の病院で治療を受けられている患者さんのご相談もお受けしています。
- 妊よう性温存療法について
- 性や生殖に関すること
- 里親制度・特別養子縁組について
相談方法
相談をご希望の方は、不妊外来または地域連携室までご連絡ください。
TEL.098-850-3811
関連リンク
がん治療と妊よう性温存について、以下のホームページでより詳しく解説しています。
国立がん研究センターがん情報サービス
日本がん・生殖医療学会
おきなわがんサポートブックWeb版