心臓血管外科

診療科・部門

心臓血管外科

 当科は2011年、豊見城中央病院において開設されました。心臓・血管に関する外科治療における最善を目指し地域に根付いた医療を展開しております。2023年現在、沖縄県で最も多くの心臓・血管外科手術を行っており、県内唯一のロボット心臓外科手術の認定施設でもあります。当科の特徴は、「低侵襲外科治療」です。早期社会復帰を実現する心臓血管外科手術治療をハートチーム一丸となり提供いたします。
▼心臓血管外科では日々の出来事を発信するFacebookを公開中です

当科の治療成績

診療内容

 当科では、原疾患に対する根治および手術治療効果が長持ちする手術を原則としております。また、緊急疾患にも迅速かつ、受け入れを断らない手術体制を導入しております。その上で、手術治療を受けられる患者さんにとって、体力的な負担の少ない手術法を導入しております。
 心臓手術においてのアプローチ方法は様々ですが、当科では後述する3法のアプローチを用いております。その中でも低侵襲心臓外科手術治療(MICS)は胸骨および肋骨離断を伴わない治療法であり、患者さんにとっての負担を軽減する手術法となります。当科ではこのMICSを積極的に導入しております。MICSにおける治療においては、ロボット(ダビンチ)支援下による治療が可能な疾患もあります。当科では2023年より、ロボット支援下心臓手術を開始し、術後創部痛のさらなる軽減を実現しております。
 さらに当院ハートチーム(循環器内科と心臓血管外科の合同チーム体制)の連携によって経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)をはじめとするカテーテル治療も積極的に行っております。
 治療はハートチームにて検討されます。当院ハートチームは多くの治療法を取りそろえておりますが、その中より最善と判断された治療法を患者さんにご提案させていただきます。

低侵襲心臓外科手術(MICS)

当院では 低侵襲心臓外科手術(以下MICS: Minimally invasive cardiac surgery)に力を入れております。MICSは手術創が通常の開心術に比べて小さく、術後の回復が早く、美容的にも優れた手術です。当科における治療経験から、術後在院日数は7-10日となります。基本的に胸部の骨を切開・離断しませんので術後の運動制限はありません。術直後より車の運転・仕事が可能となります。 当院における対象疾患は、1)単枝および多枝冠動脈硬化症、2)心臓弁膜症全般、3)心房中隔欠損症および心臓腫瘍、であります。MICSが可能かどうかは患者さんの体つき(胸部の解剖学的な条件)および全身状態から判断されます。

MICS手術の特徴

  • 胸骨の離脱なし
  • 早期回復・早期社会復帰
  • 美容的に良い
  • 設備、手術技能を要する

MICS手術が可能な心臓疾患

  • 狭心症
  • 心臓弁膜症
  • 心房性不整脈
  • 心臓腫瘍
  • 心房中隔欠損症

MICS手術の術後経過

  • 手術は46時間、8割の患者さんが手術室にて人工呼吸器から離脱し会話可能な状況で手術室を退室
  • 術後1日目より離床、食事開始
  • 術後1〜2週で退院
  • 退院後約1週間で職場復帰可能、車の運転可能、運動制限なし

MICS手術による心臓手術の創部

※患者さんの承諾を得て掲載させていただいております。

ロボット心臓外科手術

当院ではダビンチXiという手術支援ロボットを2022年5月より導入し、外科系診療科で使用しております。心臓外科手術においてのロボット操作は「ロボット心臓手術関連学会協議会」によるトレーニングと認定を受けた施設・術者が行います。
当院は沖縄県唯一のロボット支援下心臓手術の施設・術者認定施設であります。

▲手術前のセッティング
▲ロボットアーム先端は人の指のように滑らか
▲3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作

ロボット支援下心臓手術の利点

従来の低侵襲心臓外科手術治療(MICS)との比較を下述します。

1)術後創部痛が最小限になる

手術創は右側胸部の小切開となります。当院で行っている従来のMICSは皮膚切開が5-8cmでありますがロボット支援下手術では4-6cmとなります。さらに、皮膚切開範囲外の皮下胸壁組織の切開を行いません。従来のMICSでは手術創を開大するための開胸器を使用しますがロボット支援下手術では使用しません。上記理由より、手術創にかかる侵襲が従来のMICSよりさらに少なくなるため術後創部痛が最小限となります。

2) 病変部の把握をより正確に行うことが可能

ロボット支援下手術ではロボット内視鏡にてより病変部を正確に把握することが可能となります。これは従来のMICSによる内視鏡よりも操作性が高く、執刀医主導で内視鏡操作が可能となるため病変部の情報把握が迅速かつ詳細を行うことを可能であるためです。

3)ロボットの手術用鉗子による手術操作範囲の拡大

ロボットには3本の手術用鉗子があり、これら3本にて手術操作を行います。この手術用鉗子先端には組織を把持するための鑷子や、組織を展開する牽引鈎、切除するためのはさみ、等の種類があります。手術用鉗子の先端可動域は極めて広いため、人間の手による可動域を超えた鉗子操作が可能となります。さらに手ぶれを補正する機能があるため細かな手術操作もより安全かつ正確に行うことが可能であり治療精度の向上につながります。

対象疾患と術式

  • 僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術
  • 三尖弁閉鎖不全症に対する弁形成術
  • 上記2弁疾患に対する2弁形成術(→上記3手術は保険診療適応)
  • 虚血性心疾患に対する冠動脈1枝バイパス術
  • 心臓腫瘍に対する摘出術
  • 心房中隔欠損症に対する閉鎖術

※ダヴィンチについてくわしくはこちらをご覧ください。

心外の診療看護師

診療看護師(NP)とは

  • 大学院での教育課程を経て、日本NP教育大学院協議会が独自に規定する資格認定試験に合格した看護師
  • 手順書に基づいて行う特定行為の実践と医師からの指示による医療行為の実践で医師の診療をサポート
  • 高度な専門知識を活かし、医師不在時でも迅速かつ安全な医療を提供することができる

看護師からのメッセージ

心臓血管外科 後期研修医募集

▼現在、より良い医療を目指し、チームの一員になる心臓血管外科専門医を募集しております。
臨床研修医募集情報

関連リンク

ロボット心臓手術関連学会協議会