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腎不全について
腎臓の機能
腎臓は左右に1個ずつ合計2個あり、体の背中側に位置しています。だいたい握りこぶしくらいの大きさで重さは120g前後です。腎臓は血液を濾過して尿を作り体外に排出します。尿を出すことによって、体の水分バランスを調整したり、尿毒素を排泄する働きがあります。その他にも、血圧調節や電解質バランスに関与したり、貧血の予防、骨の代謝、ビタミンの活性を行うなど生命維持に重要な臓器の一つです。
腎臓のはたらき
- 老廃物の除去
- 体液量の調節
- 電解質のバランス調節
- 血液を弱アルカリ性に保持
- 造血刺激ホルモンの分泌
- ビタミンDの活性化
- 血圧の調節
- 不要になったホルモンの不活性化
腎不全になると
これら腎臓の機能が十分維持できない状態を腎不全と言います。腎不全になると排尿が十分できなくなるため体に水分が溢れ、肺水腫やうっ血性心不全、浮腫が起こり、また毒素を排泄できないことから尿毒症を起こします。また腎機能が正常の10%以下になると末期腎不全に進行し、高カリウム血症から致死的な不整脈を引き起こしたり、貧血の進行、血液の酸性化(アシドーシス)なども生じ、そのままでは命の危険にさらされることになります。 腎不全の原因としては、現在最も多いのが糖尿病性腎症です。次いで慢性糸球体腎炎、腎硬化症となっています。その他、先天性疾患が原因の場合もありますし、原因不明も10%ほどあります。
腎不全の治療法
末期腎不全の状態になると致死的な症状を起こすことになりますので、これに対する治療(腎代替療法)が必要になります。治療法には、透析療法と腎移植の2つがあります。透析療法には血液透析と腹膜透析がありますが、現在末期腎不全の患者の殆どは血液透析を行っています。透析療法とは腎臓に代わって人工的に体の血液を浄化させる働きを代行する方法です。これによって水分・電解質および毒素を除去することができ、生命を維持することは可能になります。しかし腎機能を回復させる方法ではなく、また腎臓の機能を完全に補うものではありません。従って、生涯にわたり継続する必要がありますし、長く続けていると補えない腎機能の障害から合併症を生じてきます。また血液透析であれば通常週3回、4-5時間の通院が必要ですし、水分・食事の制限もあります。仕事や学業、旅行、妊娠・出産など社会生活にも影響があります。 現在全国で約33万人の透析患者がおり、毎年1万人ずつ増加しています。沖縄県では約4600人の透析患者がおり、人口比率における患者数では全国でも7番目という高い比率になっています。
長期透析患者の合併症
- 心血管系障害
- 免疫不全
- 腎性貧血
- 皮膚瘙痒症
- 透析困難症
- 腎性骨症(腎性骨異栄養症)
- 悪性腫瘍
- 透析アミロイドーシス
- 多嚢胞化萎縮腎
一方、腎移植とは腎臓の機能が低下した人のために、新しい腎臓を手術で移植することによって全ての腎臓の機能を回復させる治療法です。移植を行うと失われた腎機能のほぼすべてを回復してくれます。食事や水分の制限もほとんどありませんし、腎機能が落ち着いていれば月1回くらいの通院になります。生活の制限もあまりないので、健常人とほぼ同等の社会生活が可能です。しかしながら、手術を受けないといけませんし、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を飲み続ける必要があります。また誰から腎臓を提供してもらうか(ドナー)が最大の問題となります。
どちらの治療を選択するかは、医学的条件にもよりますが、個人の体の状態や年齢、正確、またライフスタイルなどを考慮して決定されます。移植を行う場合、多くは透析治療を経て移植を選択されていますが、最近は透析を行わずにまず腎移植を施行する先行的腎移植(PEKT)も増えてきています。