検査・治療について

診療科・部門

検査・治療について

当院でできる検査

一般不妊症検査

淋菌・クラミジア検査

【所要時間】約2、3分
淋菌やクラミジアトラコマチスの感染の有無を調べる検査です。日本国内で最も多い性行為感染症の一つですが、男性はクラミジア尿道炎、女性は子宮頸管、卵管、卵巣周囲などに炎症を起こし、まれに腹腔内全体へ感染が広がることもあります。クラミジアなどの感染後に卵管や卵巣周囲の癒着が起こり、「卵管の輸送障害(卵管狭窄・閉塞)や排卵障害」の原因になることがあります。

子宮卵管造影検査

【所要時間】約30分
レントゲン透視下に子宮や卵管を造影撮影する検査です。卵管狭窄(細くとおりが悪い)、卵管閉塞(つまっている)がないか調べる検査です。卵管がつまっていたり通りが悪いと、精子が受精の場所である卵管采へ到達できなかったり、受精卵が卵管を通れず着床の場所である子宮にもどれなかったりします。当院での造影検査は油性の造影剤を使用するため、もともと卵管の問題がない方でもさらに卵管の通りが改善され、一般不妊治療検査の中で妊娠率が高くなる検査・治療法の一つです。

子宮頸管粘液検査・ヒューナー検査

【所要時間】約5分
子宮頸管粘液の状態や精子の有無・動きを調べる検査です。性交後翌日の子宮の入り口の粘液を少量採取し、粘液中の精子の数や運動性を顕微鏡で調べます。この検査で「男性不妊症」が見つかることがあります。また、粘液中の精子の数は十分にいるが動いていない場合、精子に対する抗体が強い「免疫性不妊症」が見つかることもあります。頸管粘液が減少すると精子が進入しづらくなります。子宮頸がんの治療で頸部を削る治療後などのあとに粘液が減少することがあります。排卵期に行う検査で、タイミング療法も兼ねている検査です。

子宮鏡検査(子宮ファイバースコピー)

【所要時間】約5分
子宮内の異常を調べる検査です。子宮内の癒着、筋腫などによる変形、子宮内膜ポリープなど受精卵の着床を妨げる異常がないかを調べます。

精液検査

【診断にかかる所要時間】提出から30分〜1時間(事前に予約・採精容器が必要です)
精液量、精子濃度、奇形率、運動率の検査です。
・精液量…精液の量が少ない場合(基準値1.4ml以上)、精液減少症や逆行性射精障害(射精時に精液が膀胱に逆流する状態)の疑いがあります。
・精子濃度…精子の数が少ない(基準値1ml中1600万個以上)と精子減少症や乏精子症といいます。精液が透明な場合無精子症の疑いがあります。
・奇形率…奇形率が高い(基準値正常形態4%以上)と頭部の形態異常、尾部の形態異常があると染色体異常の可能性や受精障害があることがあります。
・運動率…運動率が低い場合(元気よく直進する精子が40%以上)、精子無力症と言います。受精の場所まで到達できず卵子と受精しにくくなります。

採血(ホルモン検査・感染症検査)

【所要時間】採血約5分
・LH・FSH(脳から出る卵巣への司令ホルモン)エストラオジール・プロゲステロン(卵巣ホルモン)の検査で、排卵前後の診断や月経不順、卵巣機能の状態などがわかります。
・甲状腺ホルモンに異常がある場合、流産や早産の原因になることがあります。
・プロラクチンが高い場合、月経不順や流産の原因になることがあります。
・感染症検査では母子感染や性行為感染などのリスクがないか調べます。

卵巣予備能検査

【所要時間】採血約5分
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣内の卵子の個数を数値化します。卵子の個数が少ない場合、治療のステップアップを急ぎます。体外受精治療の方針の方は保険で検査ができます。

MRI検査

【所要時間】約30分
子宮筋腫や腺筋症、卵巣のう腫などの診断。子宮筋腫や腺筋症は発生する場所や大きさにより受精卵の着床に影響することがあります。また、チョコレート嚢腫や子宮内膜症は、腹腔内癒着の原因となることもあります。その他にもMRIを動画撮影する方法で、子宮の異常運動を調べることができます。

不妊特殊検査・治療

子宮内フローラ検査

【所要時間】約5~10分
※この検査は自費となります。
子宮内膜を少し採取して有益なフローラ(細菌業)を調べる検査です。子宮内にラクトバチルスという善玉菌がどれぐらいいるか、子宮内にどのような菌が多いのか調べます。

ERA検査

【所要時間】約5~10分
※この検査は自費となります。
排卵約5日後の内膜を採取し、着床の適切な時期を調べる検査です。子宮内膜が受精卵を受け入れる時期が通常は排卵後5日目頃と言われていますが、人により排卵後4日目~7日目とずれていることがあり、受精卵を移植する最適な日を調整するために検査を行います。体外受精治療で良い卵を戻しても着床しない方へ検査をすすめます。

慢性子宮内膜炎検査

【所要時間】約5~10分
※この検査は保険適用可能です。
子宮内膜の細胞を採取し、炎症の有無を調べます。着床障害の診断。慢性的に子宮内膜炎がないか子宮内膜の炎症反応を調べ、抗生剤治療を行うことがあります。

染色体検査

※この検査は条件によって保険適用可能です。
流産を繰り返す場合、両親からの遺伝情報の染色体異常が原因の場合があります。手術中に採取した流産組織(絨毛)を調べ、両親由来の染色体異常が疑われたときはカップルの採血で染色体検査行います。

不育症検査

【所要時間】採血約5分
2回以上流産を繰り返す場合、母体採血検査で調べることができます。原因を調べることで治療も可能になります。

PFC-FD療法

【所要時間】採血約10分
※この検査は自費となります。
自己血小板由来成分濃縮物を用いた再生医療です。これまで子宮内膜が薄く、良い受精卵を移植しても妊娠成立されない方への治療法です。あなたの血液から抽出した成長因子を高濃度に濃縮、凍結乾燥させた成分を子宮内に投与することで、着床率が改善することを目的として行います。ご自身の血液から成長因子を抽出するので感染症などの心配がありません。血小板由来の成長因子は、成長を促す物質や免疫に関わる物質が含まれており、不妊治療以外にも皮膚科などで行う形成外科治療や整形外科などでの膝関節の再生医療でも注目されている治療法です。

DFI(精子DNA断片化指数)+ORP(精液中酸化還元電位測定)検査

【診断にかかる所要時間】提出から約10〜14日(事前に予約・採精容器が必要です)
※この検査は自費となります。
精子の形態や運動率などは正常にみえるが、精子のDNA(二重構造)が損傷している場合、受精率や妊娠率が低下するという報告があります。また、合わせて精液の酸化還元電位(酸化ストレス度)を測定することで、生活習慣の改善や栄養面のアドバイスを行います。

抗精子抗体検査

【所要時間】採血約5分
男性・女性ともに、精子に対する抗体価を調べる検査です。精子に対する抗体が強すぎると精子が攻撃を受けるため運動率などが低下し受精率が低下します。この検査で、抗体が強陽性と診断されたら顕微授精治療が必要となることがあります。ただし、この検査で抗体陽性と診断されても自然妊娠することもあるため、絶対的な検査ではありません。

治療

タイミング療法

月経の周期に合わせ経膣超音波検査で卵巣内の卵胞の大きさを計測し、排卵時期を推測、性交のタイミングを指導します。卵子の受精可能な時間は「排卵後24時間以内」と言われているので、タイミングが大切です。排卵障害がある方は、月経の3~5日目から排卵誘発剤を内服する治療も合わせて行います。また、排卵時期を予測するためホルモン検査を行うこともあります。

人工授精治療

【所要時間】約1時間
【4月より保険適応】経膣超音波で卵胞の大きさを計測し排卵時期に合わせて人工授精(洗浄濃縮した精子を子宮内に注入)します。頚管粘液が少ない、精子の数が少ない、運動率が低い、性交障害(勃起不全・射精障害など)方に適しています。男性不妊の場合、ホルモン療法を行うこともあります。

男性不妊治療

男性不妊の場合、精子減少症にはホルモン療法、性交障害には薬物療法など行っています。精索静脈瘤などの精路通過障害がある場合、泌尿器科と連携し手術療法も可能です。

体外受精・顕微授精治療

【所要時間】日帰り手術
月経2~3日目から卵胞を育てる注射を(約10日間←挿入)毎日行い、卵胞が大きくなったら、日帰り手術(静脈麻酔)で採卵手術をします。手術当日にご主人さまより提出頂いた精子で体外受精(卵子に精子をふりかけ自然に受精させる方法)や顕微授精(1つの卵子に対し1個の精子を顕微鏡下で極細径の針で注入し受精させる方法)を行います。どちらの治療も安全性は確立されています。

胚(受精卵)移植術

【所要時間】約30分
採卵後受精した卵子は胚と呼びます。胚移植術(カテーテルを使って子宮内に移植法)は、採卵術の3~5日後に移植する新鮮胚移植と、一旦凍結保存したあと次の月経周期に融解して移植する方法があります。凍結融解胚移植の場合、自然に排卵したあとに移植する方法と、ホルモン剤を使い排卵させずに子宮の状態を整えて移植する二通りの方法があります。(受精卵が着床できるのは、排卵後5日目頃と言われているので移植する時期が大切です)それぞれ、患者様の状態や希望に合わせカスタマイズが可能です。

精巣内精子採取術(TESE)

【所要時間】1泊2日入院
射精障害や無精子症など、通常の採精で精子が得られない男性の睾丸から、腰椎麻酔で皮膚切開を行い睾丸組織中から精子を採取する方法です。この手術で精子が得られたら女性側の採卵術で採取した卵子に顕微授精を行います。泌尿器科の専門医と連携して行います。

がんなどの治療前後における妊よう性温存のための精子・卵子・受精卵凍結

原疾患(がん治療)の主治医より依頼を受け治療計画を立てて開始します。通常の体外受精・顕微授精治療の方と同様に卵胞を育てる注射を連日行い、採卵術後に受精卵もしくは未受精卵(パートナーがいない場合)を凍結保存します。原疾患の治療が一段落し、主治医より妊娠許可がでたら、凍結している胚(または未受精卵)を融解し子宮内へ移植、妊娠を計画します。未受精卵凍結の場合は、パートナーより提出していただいた精子を使い融解後に顕微授精が必要となります。当院ではこの治療法で、がん治療後にお子様を得ている方がいらっしゃいます。※年齢制限付き助成制度あり

沖縄県がん患者等妊よう性温存療法研究促進事業について(沖縄県HP)

腹腔鏡手術

【所要時間】入院4~5日程度
原因不明不妊症、もしくは腹腔内癒着が疑われる場合など、原因精査・癒着剥離・卵管の形成などの加療目的で腹腔鏡手術を行います。卵管采形成はピックアップ障害の改善に繋がります。また手術中、卵管の通りを改善させるチュービングという手技を加えることで、妊娠率が上がることが期待されます。この手術は、その後一般不妊治療を行うか、生殖補助医療(体外受精治療)に進んだほうがいいかの判断材料にもなります。他にも卵巣嚢腫や子宮筋腫などの治療も腹腔鏡手術で行えます。当科では、帝王切開後症候群の子宮修復治療も腹腔鏡手術(保険適応)で行うことが可能です。

子宮鏡治療

【所要時間】日帰り入院
卵管造影検査で、卵管が閉塞している方や卵管のとおりが悪いかたへの検査・治療法です。静脈麻酔なので日帰りで行えます。子宮鏡の先端からカテーテルが出る装置を使い、卵管の狭くなっているところを広げ、妊娠率を上げます。ただし、癒着や狭窄が卵管采付近(先端部分)の場合は、カテーテルが届かないため腹腔鏡下で行う必要があります。

不育症治療(抗リン脂質抗体症候群)

【所要時間】採血約5分
妊娠はするけれどある週数になると流産を繰り返してしまう疾患です。血液凝固系に異常を持っている場合があるため、採血検査で調べることができます。「抗リン脂質抗体症候群」と診断されたら、妊娠初期から「抗凝固療法」を開始します。これは、1日2回、毎日ヘパリンという注射を自分で皮下注射をする方法から、軽度の異常であれば血栓を予防する内服薬で治療する方法と、程度は様々です。どちらも妊娠成立した時点から治療を開始し、流産される週数を乗り越えるまで継続して治療が必要となります。不妊治療と継続して行う方もいます。医師、看護師、スタッフが丁寧に、親身になって治療を支えるので不安などがあればいつでもお声掛けください。

更年期外来(ホルモン療法)

更年期におけるホルモン療法・カウンセリングの認定医が診療します。投薬治療や骨密度の検査、癌検診なども行っています。また心理面での連携サポートとして院外の心療内科への紹介もおこなっております。