レシピエント手術

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レシピエント手術

術前準備

移植手術が決まった後のレシピエントの流れを見てみましょう。当院では火曜日に移植手術を行いますので、前週からは透析日を月水金にしてもらいます。通常の血液型適合の移植の場合、手術1週間前から免疫抑制剤(通常3剤)を内服します。当初は下痢、嘔気など副作用が現れることもありますが、症状に応じて治療します。ほとんどは内服を続けるうちに症状が改善していきます。前週の金曜日または土曜日に入院です。入院後は採血を行い、血中濃度を測定して免疫抑制剤の量が適切であるか確認します。結果で量を増減することもあります。月曜日に透析を行いますが、移植後順調に尿が見られればこれが最後の透析になります。また全身麻酔を行ってくれる麻酔医の診察もあります。(前もって外来で済ませておくこともあります。)夕方に下剤を内服して、翌日火曜日はいよいよ手術の日です。
血液型不適合移植の場合、血液型に反応する物質である抗A抗B抗体を術前に体から除去しておく必要があります。抗体の量によって変わりますが、免疫抑制剤の内服は術前2週間前から開始し、入院も手術1週間前になります。入院後は抗体産生を抑えるリツキサンという薬を点滴し、血漿交換を何度か行って抗体の量を手術までに十分減らしておく必要があります。手術方法や術後の経過は通常の移植と変わりません。

手術当日

早朝免疫抑制剤を内服し、9時前には病棟から手術室に向かいます(ドナーは8:30)。麻酔などの手術準備が行われ、10時頃に執刀となります。通常は右下腹部の後腹膜(腸骨窩)に移植を行いますので、約12-15cmの皮膚切開をおき、脚に向かう血管である外腸骨動脈および静脈を露出します。ドナーから摘出された腎臓が届くと、腎動静脈をそれぞれ外腸骨動静脈に端側吻合します。吻合が終了して腎臓に血液が流れだすと、生体腎移植の場合通常30分内には尿の流出が認められるようになります。尿管を自己の膀胱に吻合し、腎臓を適切な位置に納めれば手術は終了です。平均的には約4-5時間程度の手術で、出血も100-300mlくらいです。特殊な状況を除いて元々の腎臓は摘出しません。また腹膜透析の場合は、尿の流出を確認して透析用のカテーテルは抜去します(移植後の腹膜炎などを予防するため)。術後はICUに入室して管理します。

移植当日1
移植当日2
移植当日3
移植当日4

術後経過

手術翌日から飲水を開始し免疫抑制剤を内服します。術後2日間は移植した腎臓保護のためICUでベッド上安静となります。立ったり歩いたりは禁止です。創痛よりも腰痛を訴える方が多いです。2日目にICUから外科個室病棟に移ってからは離床しても構いません。食事も開始になります。術後尿量を保つため点滴を継続しますが、4日目には終了して点滴を抜きます。なるべく水分をたくさん摂取してもらい、尿をたくさん出すことで血清クレアチニン値が速やかに低下し、術後1週間では安定した腎機能が得られるようになります。その頃にはほぼ自由に動けるようになります。その後は術後2-4週間ほど免疫抑制剤の調節を行い、患者さんが自分の状態をしっかり自己管理できるようになれば退院となります。当院では退院まで術後平均23日で、術後の合併症で死亡したり、透析がやめられなかった人は一人もいません。

移植の経過:レシピエント

退院後通院

退院後3ヶ月までは月曜日に2週間ごとの通院です。毎回朝の免疫抑制剤を内服する前に血液検査を施行し、腎機能、薬剤血中濃度、全身状態をチェックします。3ヶ月後に移植した腎臓の状態を確認するため腎生検を行います。通常1泊2日の入院です。結果が問題なければ、免疫抑制剤の減量を行い、通院も月1回になります。術後半年も過ぎれば拒絶反応が起こる心配も減ってきますが、1年間は腎機能不安定、体調不良などで入院加療を要することもしばしばです。術後1年目に腎臓の状態を見るために腎生検を行います(当院では腎臓の状態を確実に把握するため術後3ヶ月目、1年目、5年目の腎生検は基本全例で施行しています)。術後1年を過ぎるとほぼ安定した腎機能が得られ、それに伴い日常生活も安定してきます。定期的な通院・検査と確実な免疫抑制剤の内服を行えれば、通常の方と変わりない生活が可能になります。現在移植腎の平均生着期間は17年ほどと言われていますが、今後さらに改善が見込まれています。当院ではできるだけ長く移植腎が働き続けるようにチームでサポートしていきます。