治療法(放射線療法)

当院の取り組み

治療法(放射線療法)

放射線治療とは

放射線治療とは、がんに対する局所治療の一つで、放射線の照射により体の中で吸収されたエネルギーが引き起こす生物作用を利用した治療法です。その歴史は意外と古く、ドイツのレントゲン博士がX線を発見したのは1895年ですが、その翌年の1896年には、がんに対する放射線治療が開始されました。それから120年以上の年月を経て著しい発展を遂げています。

放射線治療は頭のてっぺんから足の先まで全身が治療の対象になり、メスを使って体を切るわけではないので、体に優しい治療です。高齢者から小児まで幅広い年齢が適応になり、臓器の機能や形態を温存した治療が可能です。

手術、化学療法とともに、がん治療の3本柱の一つとして放射線治療は重要な役割を担っていますが、我が国における放射線治療の実施数は欧米諸国に比べると低い水準で、およそ25%程度にとどまっています。この数字は欧米に比べると半分以下となっています。

放射線治療の適応

あらゆる種類のがんに対して行うことができますが、とりわけ放射線治療が得意な臓器として脳、頭頸部、食道、肺、子宮、前立腺などに発生するがんがあり、根治を目指した治療を行っています。乳がんのように手術で病変を切除した後に、再発を予防する目的で照射することもあります。

また根治はできなくとも、患者さんのQOLの維持や向上を目的として、がんによる痛みを和らげることや、がんからの出血を止めることなど、症状の緩和を目的として放射線治療を行うこともあります。

当院では根治や緩和を目的として、年間約250件(2022年:255件、2023年:265件)の放射線治療を施行致しております。がんの発生部位毎の放射線治療件数は下のグラフの通りです。

友愛医療センター放射線治療の特徴

常勤の放射線治療専門医が1名在籍しており、加えて琉球大学病院から複数の非常勤医師に応援に来てもらっています。医師だけでなく、放射線技師(放射線治療専門技師を含む)、医学物理士、看護師など高度な専門性を有するスタッフが一丸となって、患者さんに最適な治療を提供できるよう努めています。

当院の放射線治療機TrueBeam®はVarian社の最新型リニアックで、X線を用いた放射線治療のほとんど全てをこの1台で行うことができます。SRT(定位放射線治療いわゆるピンポイント照射)やIMRT(強度変調放射線治療)などの高精度な治療ももちろん可能です。またこの治療機では高い線量率で照射可能なため、高精度な治療が短い時間でできることも大きな特徴です。

また、患者さんのお住みになっている地域によっては、当院への通院手段として豊見城中央病院の送迎バスをご利用頂ける場合がございます。放射線治療期間中の通院手段にお悩みの際はお気軽にご相談下さい。

前立腺癌に対するVMAT(強度変調回転照射法)の1例

晩期障害である放射線性直腸炎を避けるために、なるべく直腸へ放射線が当たらないように調整しています。治療期間は約8週間程度で平日毎日行います。

その他、HPに記載したいことがあれば(使用したい画像や資料があれば別途ご準備ください)

肺癌に対するSRTの1例

早期の肺癌でも手術ができない例や手術を拒否された例にSRTをしています。
転移性肺癌でも適応になる場合があります。
治療日数は4日程度で、通院で治療可能です。

脳転移に対するSRTの1例

少数個の脳転移であれば積極的にSRTを行っています。
治療日数は病変の大きさによって異なりますが、1日から3日間程度です。

肝細胞癌に対するSRTの1例

肝臓に発生するがんでも個数が少なく、3cm程度の小さいものであればSRTを行っています。胃や食道への放射線が当たりすぎないよう注意して5日間程度の治療を行います。

放射線治療に関するQ&A

Q1. 放射線治療を受けると、家族や友人など周囲の人にも放射線の影響はありますか?

A1. TrueBeamRを含めたリニアックによる放射線治療(外照射)では、周囲の人に放射線の影響はありません。

Q2. 放射線治療を受けると髪の毛は抜けますか?

A2. 外照射では、頭部への治療を行う時のみ髪の毛が抜けるリスクがあります。

Q3. 放射線が体に当たる時(照射時)に痛みや熱さはありますか?

A3. 外照射では照射時に痛みや熱さを感じることはありません。

Q4. 放射線治療の費用はいくらでしょうか?

A4. 外照射では治療の回数や方法によって費用が異なるものの、多くの場合で高額療養費制度の適応となります。また、任意で加入されている医療保険や生命保険もご利用になれる場合があります。費用に関しても放射線科受診の際にお気軽にご質問下さい。