診療科のご案内

Speciality Care Clinics

移植外科について

ご紹介

当院では2004年から慢性腎不全の患者さんに対して腎移植手術を開始し、これまで170例以上の移植を行って来ました。宮古、石垣、その他離島を含む県内全域および県外からも移植を希望されて患者さんが受診しています。年間20例以上の移植を行う、全国でも有数の移植施設になっています。また献腎移植の認定施行施設にもなっており、新規登録や更新手続きも可能です。さらに県内唯一の膵臓移植患者さんを診療できる施設でもあります。国内トップの移植施設である九州大学、東京女子医大、名古屋第二赤十字病院と連携し、最高水準の移植医療が提供できる体制を整えており、沖縄県内の腎不全患者さんが健康を取り戻して元気に日常生活を送れるよう全力で支援しています。

メッセージ

はじめに

こんにちは!当ホームページを御覧頂き、ありがとうございます。皆さんは移植医療に興味を持たれて、このページを目にしていると思います。昨今、「移植」について耳にする機会が増えてきていますが、実際「移植医療」とはどういうものなのか分かっている方ってそれほどいないのが現状です。「移植って誰でも受けられるものなの?」「大手術をして何か月も入院が必要なのでは?」「移植した腎臓はどれくらい持つの?」「すごいお金がかかりそう」「移植なんてしたら普通の生活ができなくなるのでは?」などなど疑問はつきません。一般に「移植医療」はハードルが高くて特別な人だけが受けられる特別な治療と思われていますが、そんなことはありません。通常の健康保険がきく医療ですし、何時間かの手術でほとんどは1ヶ月以内に退院できます。術後は拒絶反応を抑える免疫抑制剤という少し特別な薬をのむくらいで、日常生活はほぼ健常人と同じように行なえます。勿論個々の状況で、移植ができなかったり、種々の合併症が起きたり、スムースに行かなかったりすることはあります。しかし全体的には、多くの人が受けることのできる安全で結果の良い治療が移植医療です。 当院では、主に腎移植を中心に病院全体で移植医療に取り組んでいます。当ページを御覧になり是非移植に関する知識を高めてもらって、移植医療に対する御理解を頂きたいと思います。
※本ページの内容はあくまで当院で行われている移植医療に基づいて作成されています。施設により治療の内容に差異がある場合もありますので御了承ください。また、各データは2018年末時点のものとなります。

移植外来のご案内

当院の移植初診外来は、通常毎週金曜日もしくは土曜日午前です。事前に予約をとって受診してください。(出張や緊急手術などで休診することがあります。)その際、主治医からの紹介状が必要です。生体移植や献腎移植を希望される方は是非ご家族同伴で受診されることをお薦めします。また、移植の話を聞いてみたいというだけの方でも全然構いません。当院では初診時に、まず移植コーディネーターが面談を行います。移植の知識を有する専任看護師ですので、何でも気軽に聞いてみてください。その後、移植専門医の診察があり、あなたに最も適切な治療方法を提示いたします。
2018年に移植外来を新規受診された患者さんは42組でした。年々増加しており移植に対するニーズが高まっていることが伺えます。特に他施設からの紹介が多く、これまで沖縄県全域、離島、国内、国外あわせて59施設から患者さんの紹介がありました。これも当院の移植医療への信頼が増しているためと思っています。今後も全国水準の移植医療を提供して腎不全患者さんのために全力で尽くしていこうと思っています。

当院の腎移植件数 移植外来新規受診者数

当院での診療体制

当院では日本移植学会認定医の資格を有する移植医がチーフとして診療にあたっています。国内トップの実績を誇る東京女子医大および九州大学からも移植経験のある医師が赴任して手術や入院管理を行っています。また名古屋第二赤十字病院や聖マリアンナ大学での移植の経験を積んできた当院の移植内科医も術前評価や術後外来で診療に携わっています。

全国腎移植症例数

現在、外来では日本移植学会の認定を受けた移植コーディネーターが患者を全面的にサポートしており、また腎臓病薬物療法認定薬剤師の資格を持つ薬剤師が免疫抑制剤やその他の服薬に関して指導を行っています。さらに管理栄養士、メディカルアシスタント、臨床心理士、ソーシャルワーカーも積極的に関わっており、当院のチーム医療が移植後の長期成績向上に寄与しています。
当院では、安全かつ高水準の移植医療を患者に提供するために院内のあらゆる職種部門が参画する「移植推進委員会」を2010年に設立し、移植に関する全ての診療、情報発信、普及活動などを一元的に行っています。これにより院内のスタッフが情報を共有し、よりレベルアップすることできめ細かく、質の高い医療を行うことができるとともに、病院全体として移植医療に取り組んでいく体制を整えています。
活動の4本柱として、1)生体腎移植 2)献腎移植 3)臓器提供 4)普及啓発・研究発表 を掲げて移植医療の推進に取り組んでおり、全国有数の移植実績を収めるまでになりました

腎不全について

腎臓の機能
腎不全になると
これら腎臓の機能が十分維持できない状態を腎不全と言います。腎不全になると排尿が十分できなくなるため体に水分が溢れ、肺水腫やうっ血性心不全、浮腫が起こり、また毒素を排泄できないことから尿毒症を起こします。また腎機能が正常の10%以下になると末期腎不全に進行し、高カリウム血症から致死的な不整脈を引き起こしたり、貧血の進行、血液の酸性化(アシドーシス)なども生じ、そのままでは命の危険にさらされることになります。 腎不全の原因としては、現在最も多いのが糖尿病性腎症です。次いで慢性糸球体腎炎、腎硬化症となっています。その他、先天性疾患が原因の場合もありますし、原因不明も10%ほどあります。
腎不全の治療法

末期腎不全の状態になると致死的な症状を起こすことになりますので、これに対する治療(腎代替療法)が必要になります。治療法には、透析療法腎移植の2つがあります。透析療法には血液透析と腹膜透析がありますが、現在末期腎不全の患者の殆どは血液透析を行っています。透析療法とは腎臓に代わって人工的に体の血液を浄化させる働きを代行する方法です。これによって水分・電解質および毒素を除去することができ、生命を維持することは可能になります。しかし腎機能を回復させる方法ではなく、また腎臓の機能を完全に補うものではありません。従って、生涯にわたり継続する必要がありますし、長く続けていると補えない腎機能の障害から合併症を生じてきます。また血液透析であれば通常週3回、4-5時間の通院が必要ですし、水分・食事の制限もあります。仕事や学業、旅行、妊娠・出産など社会生活にも影響があります。 現在全国で約33万人の透析患者がおり、毎年1万人ずつ増加しています。沖縄県では約4600人の透析患者いて、人口比率における患者数では全国でも7番目という高い比率になっています。

長期透析患者の合併症

  • 1. 心血管系障害
  • 2. 免疫不全
  • 3. 腎性貧血
  • 4. 皮膚瘙痒症
  • 5. 透析困難症
  • 6. 腎性骨症(腎性骨異栄養症)
  • 7. 悪性腫瘍
  • 8. 透析アミロイドーシス
  • 9. 多嚢胞化萎縮腎
都道府県別透析患者数

一方、腎移植とは腎臓の機能が低下した人のために、新しい腎臓を手術で移植することによって全ての腎臓の機能を回復させる治療法です。移植を行うと失われた腎機能のほぼすべてを回復してくれます。食事や水分の制限もほとんどありませんし、腎機能が落ち着いていれば月1回くらいの通院になります。生活の制限もあまりないので、健常人とほぼ同等の社会生活が可能です。しかしながら、手術を受けないといけませんし、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を飲み続ける必要があります。また誰から腎臓を提供してもらうか(ドナー)が最大の問題となります。

どちらの治療を選択するかは、医学的条件にもよりますが、個人の体の状態や年齢、正確、またライフスタイルなどを考慮して決定されます。移植を行う場合、多くは透析治療を経て移植を選択されていますが、最近は透析を行わずにまず腎移植を施行する先行的腎移植(PEKT)も増えてきています。

腎移植について

腎移植のメリット
腎移植のデメリット

移植を行う上で問題となる点もいくつかあります。まず手術を受けなければ行けないということと、少ないですが手術による合併症が生じることもあります。臓器の拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を内服する必要がありますが、薬の副作用や免疫力低下で感染症に弱くなるといった心配もあります。生活が自由になる代わりにしっかりとした自己管理ができないと腎機能に影響します。また現在の医学では移植した腎臓を永久に持たせることはできません。いずれは機能が廃絶し透析に戻る可能性はあります。しかしながらこれらの合併症や副作用を最低限におさえ、腎臓に優しい生活環境を心がけてできるだけ長く機能を維持出来れば、人生の大半を透析なしで元気に過ごすことができます。

腎移植のデメリット

  • 1. 手術を受ける必要がある(耐術性の問題)
  • 2. 免疫抑制剤の副作用
  • 3. 感染症の危険性
  • 4. 自己管理の徹底
  • 5. 精神的不安定
  • 6. 移植腎は永久ではありません → 透析再導入

しかしこれらは医療の進歩によりかなり克服されてきています

腎移植の種類(献腎移植と生体腎移植)

腎移植の最大の問題は、腎臓を誰からもらうかということです。この腎臓提供者をドナー、移植を受ける人をレシピエントといいます。腎移植はドナーの種類によって、献腎移植と生体腎移植に分けられます。通常、正常な腎臓は1個あれば、それだけで体の機能を十分に維持することが可能です。

献腎移植

死亡後に本人もしくは家族の希望で善意の腎臓提供があった場合に、あらかじめ日本臓器移植ネットワークに登録している患者の中で、最も優先順位の高い方に腎臓が移植されます。心停止後に提供される場合と、脳死後に提供される場合とがあります。腎臓が2個あるため一人の提供で2名の登録患者が移植を受けることができます。この献腎移植はネットワークが認定した施設でのみ行われます。

生体腎移植

患者の親族の中に自らの意思で腎臓の提供を希望されている方がいる場合、その方の全身状態および腎機能が医学的に問題ないことを条件に、1個の腎臓を摘出して移植を行います。診療体制が整っている病院であれば施行可能です。日本移植学会の倫理指針では、生体移植は親族からの提供に限るとされており、親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族(配偶者側の親族)と定義されています。 生体ドナーの範囲

どちらを選ぶかは個々の環境によりますが、現在の大きな問題として献腎移植の場合、移植を希望して登録されている患者はたくさんいますが死亡後に臓器提供を希望されるドナーの方が少ないため、移植を受けるまでの待機期間が非常に長くなっている状況があります。一方で生体腎移植の場合、早期に移植が可能ですが、安全性に最大限配慮しているとはいえ健康な方を手術しなければならないという点が最も問題になります。

生体腎移植と献腎移植の比較
日本での腎移植の状況

我が国での移植医療の状況はどうなっているのでしょうか。現在、全国で約33万人の透析患者がおり、約12,000人が献腎移植に登録しています。腎移植件数は年々増加しており、2017年に全国で1742例の腎移植が行われています。そのうち献腎移植は198例(11%)、生体腎移植は1544例(89%)でした。献腎での提供者が少ないため、透析患者が体の機能を回復するためにはそのほとんどを生体腎移植に頼らざるをえないのが実状です。2017年に腎移植を行った施設は全国で140施設あります。そのうち84施設(60%)が年間9例以下で、10例以上施行した施設は56施設(40%)でした。20例以上に限ると20施設(14%)しかありません。しかし移植件数でいうと年間10例以上の56施設で全体の81%を占めています。つまり少数の施設がたくさんの患者を治療している状態であり、そのことが移植医療のレベルアップ、安定した成績に繋がっています。 腎移植件数の推移 2017年の移植件数別施設数 移植後の腎臓がどれくらいの期間機能するかは、生着率(移植後透析導入になっていない人の割合)で表します。生着率は年代毎で格段に向上しています。理由としては第一に免疫抑制剤の進歩が挙げられます。以前には存在しなかった薬剤が次々に開発され、拒絶反応を抑えることで長期間移植腎機能を保持することができるようになっています。2000年代以降の生着率は、生体腎移植で5年94%、10年86%、15年76%、献腎移植で5年83%、10年71%、15年48%となっています。

当院の年代別腎移植成績
腎移植の適応について

自分は移植を受けられるのだろうかと心配している人はいませんか。基本的には、腎不全患者であって自らの意思で移植を希望されている方全員が移植の対象となります。これに加えて生体腎移植の場合は、自らの意思で腎臓の提供を希望されている家族がいることが条件となります。夫婦間の移植であったり、ドナーと血液型が違っていたり、原疾患が糖尿病であったり、以前に移植を受けて透析に戻ってしまった人なども移植を受けることは可能です。また年齢の上限はありませんが、術前検査で手術可能と判断されれば移植を行えます。これまでの当院の移植最高齢は73歳の方です。

ただし以下のような方は移植をすすめることができません。移植を行うことでかえって体を悪くしてしまいます

  • 治癒していない、または治療後間もない悪性腫瘍(癌など)を持っている場合
  • 全身麻酔を含めた大きな手術に耐えられない心機能や肺機能であった場合
  • 慢性または活動性の感染症を持っている場合
  • 性格や気質、精神疾患により通院したり内服などの自己管理ができない場合
  • その他医学的に移植が不適と判断された場合(クロスマッチ検査陽性など)
拒絶反応について

移植された腎臓はたとえ家族から提供されたものであっても厳密にいうと他人のものなので、体に侵入した異物(細菌やウィルスなど)を排除しようとする「免疫」というシステムが働きます。通常の生体では体を守るための大変重要な機能ですが、移植の場合これを拒絶反応といいます。拒絶反応がおこってしまうとせっかく移植した腎臓が機能しなくなってしまうので、免疫抑制剤を内服することで免疫機能を抑制し拒絶反応を抑えるわけです。従って移植腎が働いている限りは、免疫抑制剤を内服し続ける必要があります。また拒絶反応が起こっても早期に診断、治療ができれば殆どの拒絶反応は治療することができます。移植した腎臓が廃絶する理由として急性拒絶反応が原因のものは8.6%しかありません。
当院では2018年末時点で急性拒絶反応による腎廃絶は一例もありません。細菌は免疫抑制剤の進歩により、治療はもちろん拒絶反応自体の発生率もかなり低下しています。
しかしながら、重度の拒絶反応や治療抵抗性の拒絶反応の場合、おさまっても腎機能が低下したままであったり、そのまま機能廃絶にいたる場合もあります。また長い期間をかけて徐々に腎機能が低下する慢性拒絶反応については現在でも有効な治療法がなく、移植腎が永久に持たない最大の原因になっています。

移植腎が廃絶する理由
免疫抑制剤について

免疫抑制剤は移植において必須の治療薬ですが、副作用の多い薬でもあります。拒絶反応を抑えようとたくさん飲み過ぎると副作用で困ることになりますし、少なければ拒絶反応が起こってしまいます。従って移植医は拒絶にも副作用にも配慮した最も適切な量で薬を処方します。自己判断せず用法用量、服薬時間をきちんと守って内服することがとても重要です。副作用のほとんどは内服量の調節により予防可能です。以下に主に使用される免疫抑制剤を示します。拒絶反応にはリンパ球が大きく関与しますので、このリンパ球の働きを抑える薬剤がメインになります。

カルシニューリンインヒビター(CNI)

ネオーラル(シクロスポリン):CyclosporinA

リンパ球の増殖を強く抑制することにより免疫抑制効果を発揮します。免疫抑制療法のベースとなる薬剤です。副作用としては、腎障害、多毛、手指振戦、歯肉肥厚、高血圧などがあります。特に、内服が多すぎると腎機能障害が出現するため頻回に血中濃度を測定しながら内服量を調整する必要があります。1日2回12時間ごとに内服します。

プログラフ/グラセプター(タクロリムス): Tacrolimus

シクロスポリンと同様に、リンパ球の増殖を強く抑制することにより免疫抑制作用を発揮します。本薬剤はシクロスポリンの約10倍から100倍の作用があると言われています。免疫抑制療法のベースとなる薬剤です。副作用としては、腎障害、心毒性(不整脈、胸痛など)、糖尿病、消化器症状(嘔吐、下痢)、高尿酸血症などがあります。この薬剤も血中濃度を測定しながら内服量を調整します。プログラフは1日2回12時間ごと、グラセプターは徐放剤なので1日1回24時間ごとに内服します。

代謝拮抗剤

セルセプト(MMF)

リンパ球の増殖を抑制し免疫抑制効果を示します。非常に強力な薬剤で、特に重症の拒絶反応を引き起こす抗体の産生を抑制する作用があります。副作用としては、消化器症状(下痢、嘔吐)、食欲不振、貧血、白血球減少などがあります。作用が強すぎると感染症のリスクが増加しますので減量などの調整が必要になります。1日2回12時間ごとに内服します。

ブレジニン(ミゾリビン)

セルセプト同様にリンパ球の増殖を抑制します。作用・副作用ともセルセプトほど強くはありません。副作用として、白血球減少、食欲不振、消化器症状(嘔吐、口内炎)などがあります。1日2回12時間ごとに内服します。

ステロイド : Steroid

メドロールまたはプレドニン

免疫反応全体に抑制効果を持つ極めて重要な免疫抑制剤で、急性拒絶反応では治療の主役となります。ですが長期服用の副作用として顔が丸くなったり、肥満、糖尿病、白内障、胃潰瘍、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死など多彩な症状を引き起こすため、できるだけ減量するようにしています。1日1回24時間ごとに内服します。

mTOR阻害薬

サーティカン(エベロリムス): Everolimus

細胞増殖シグナルであるmTORを阻害することでリンパ球の増殖を抑制します。腎移植で使用可能になったのは2011年と比較的最近で、免疫抑制効果以外にも、一部のウイルス抑制効果を有したり、血管平滑筋細胞増殖を抑制して血管壁の肥厚を抑える効果など多彩な副次効果にも期待できます。副作用としては、白血球減少や高脂血症、尿蛋白、消化器症状(下痢、口内炎)、浮腫などがあります。1日2回12時間ごとに内服します。

分子標的薬

シムレクト(バシリキシマブ): Basiliximab

注射薬で移植手術当日と術後4日目の2回のみ投与します。直接的な副作用はあまりなく、投与後アレルギー症状をおこす場合もありますが、ほとんど稀です。リンパ球の活性化を強力に抑制する作用があり、2回の投与で効果は約1ヶ月半持続します。頻度の多い移植後早期の拒絶反応を抑えるのに非常に効果的です。ほぼ全例で使用されています。

リツキシマブ(リツキサン): Rituximab

こちらも注射薬で抗体産生に関与するβリンパ球を特異的に抑制する薬剤です。元々はβリンパ型悪性リンパ腫の治療薬です。血液型の違う移植で問題となる抗血液型抗体を抑えてくれる効果があり、2016年に移植に保険適応となりました。当院では血液型不適合移植において全例で使用し良好な成績を収めています。副作用としては、アレルギー反応、肝機能障害、間質性肺炎、心障害、皮膚粘膜症状などが報告されていますが、いずれも頻度は低いものです。また白血球減少や血小板減少が5-10%で認められます。手術1週間前に200mgを1回点滴します。
それぞれの免疫抑制剤は拒絶反応の違った段階に作用するようになっており、組み合わせて使うことによって、より有効に拒絶反応を抑制できるように工夫されています。また薬剤を組み合わせて使うことによって、より有効に拒絶反応を抑制できるように工夫されています。また薬剤を組み合わせることにより各薬剤の使用量を減らすことができ、副作用を予防することもできます。上記の薬剤の中から通常3-4剤を組み合わせて内服してもらいます。
また移植後ずっと同じ量の薬を飲み続けるわけではありません。移植後3ヶ月は特に拒絶反応が起こりやすい時期ですので、しっかりとした免疫抑制が必要です。しかし時期が経ち、特に移植後1年をすぎるようになると拒絶反応の頻度はかなり減りますので、それほどたくさんの免疫抑制剤は必要ありません。従って副作用軽減のための薬の料は最小限まで少なくします。そうなると免疫力が回復し感染症リスクも低下します。

免疫抑制剤 免疫抑制剤プロトコル
移植後の生活について

移植がうまくいくと健常者の方とほぼ同じ生活が送れます。旅行や仕事、スポーツ(格闘技系は除く)、女性であれば妊娠・出産などほとんどすべての事柄が可能です。いくつかの注意すべき点がありますが、これらの多くは一般的な健康管理上必要なことで特別なことはあまりありません。毎日必ず免疫抑制剤を内服すること、腎臓に優しい生活習慣・食事を心がけること、欠かさず通院して医師のチェックをうけることなどです。移植後早期は、こまめな通院検査が必要ですが、腎機能が落ち着いた状態になると、1-2ヶ月に一度の通院でよくなります。ただ移植腎が機能している間は、5年、10年たっても免疫抑制剤を飲み続けないといけませんので長期の通院が必要になります。

移植の費用について

移植にはすごいお金がかかるのでは心配している人もいるでしょう。日本の病院で腎移植を行う場合、生体でも献腎でも保険診療になります。腎移植に関する医療費は健康保険や各種医療保障制度が利用できるので、自己負担額は低額で済みます。術前に透析を行っている方の場合、ほとんどが腎臓機能障害1級の身体障害者手帳を持っており、自立支援医療(更生医療)の助成が受けられます。また移植後も1級の等級は継続されますし、術前3-4級で認定されている場合でも移植後は1級になります。しかし障害年金を受給している方の場合、移植後しばらく(最低1年)は継続されますが、経過が良好で腎機能が安定していれば、減額もしくは支給停止になります。 一方ドナーについては、一部を除いた術前検査の費用、および移植のための入院・手術の費用は全てレシピエントの医療費に含まれますので、ドナーに直接医療費が請求されることはありません。ただし、移植の医療費に含まれないが、手術のために必要と判断される検査については、別途ドナーに請求することもあります。さらに何らかの理由で移植に至らなかった場合は、ドナーの検査を保険請求できませんので、かかった検査費用は全額自己負担になることを御了承ください。移植後はドナーも健康管理のため定期的な通院をお願いしています。その時の医療費は自分の健康保険での支払いとなります。

生体腎移植への取り組み

生体腎移植のメリットは早期に手術が受けられること、手術の予定が決められるので十分な検査、準備ができることがあります。そのため手術の安全性が増し、成績も良好です。最近は免疫抑制剤の進歩と相まって、全くの他人である夫婦間の移植や、血液型の違う移植、二次移植なども施行できるようになり、その成績も通常の移植と変わらない状況です。最大の問題点は健康人であるドナーを手術することですが、その安全性や体の負担には最大限の配慮をしています。

生体腎移植ドナーの基準
術前検査

移植手術で大事なことは安全に治療を行うことです。移植を行うことで、却って重大な不都合が生じることは避けなくてはいけません。そのため移植を希望される方には術前検査を行い、移植手術が安全に行えるかどうかを確認する必要があります。検査の結果によっては、移植前に治療を必要としたり、残念ながら移植ができないということもあり得ます。以下に必要な検査を説明します。

ダイレクトクロスマッチ検査(組織適合性検査)

まず最初に行う検査で、ドナーとレシピエント2人の血液を直接混ぜ合わせて反応が起こるかどうか見るものです。結果が陽性と判断された場合は、移植後に激しい拒絶反応が起きることが予想され、この組み合わせでは移植はできません。ただしほとんどの方は陰性です。血液を県外の施設に送って調べるため結果がでるまでに約1週間かかります。約47,000円の実費がかかります。(これは後日腎移植に至った場合、返金されます)

血液・感染症検査、尿検査

一般的な健康状態を調べます。栄養状態、肝機能、腎機能、血糖、コレステロール、中性脂肪、尿酸値、貧血、尿糖、尿蛋白、感染症の有無などを見ます。また症状はなくても特殊なウイルス(HIV、HTLV-1など)を体内に持っている場合は、術後発病する事があり移植はできません。ダイレクトクロスマッチ検査の採血のとき同時に行います。保険診療で約1,0000円かかります

ドナー検査

ドナーの検査の目的は主に3つあります。ドナーは健康であることが必須条件で、腎臓提供によって健康が損なわれる可能性がある場合には、ドナーにはなれません。

1.術前一般検査 全身麻酔の手術が安全に行えるか検査します。 心電図、肺機能、レントゲン検査、心エコー (循環器内科や呼吸器内科の先生に診察してもらう場合もあります)

2.腎機能検査 腎臓が1つになっても大丈夫か確認します。また左右どちらの腎臓を提供するか決めます。 (原則機能が良い方をドナーに残しますが、左右ほぼ同じ機能なら通常は左腎を摘出します) 腎シンチグラム、クレアチニンクリアランス(24時間蓄尿)

3.癌検診/人間ドック 体内に癌が潜んでいる場合、移植によって癌細胞も移る可能性があります。 胸部CT、腹部造影CT、胃カメラ、大腸カメラ 女性:乳癌検診、子宮癌検診  男性:前立腺癌検査(採血) ※ 癌が見つかった場合は、まず癌の治療が必要ですのでドナーにはなれません。 ※ 癌の完治が確認された後には、ドナーになれます。

生体腎移植術前:ドナー

レシピエント検査

レシピエントはできるだけ良い全身状態で手術に臨む必要があります。必要であれば術前に治療を行ってから移植を行う場合もあります。また術後免疫抑制剤を内服するため免疫力低下を想定した術前準備が必要になります。

1.術前一般検査(特に心機能) 全身麻酔の手術が安全に行えるか検査します。特に透析患者では心機能が低下している場合が多く、十分な評価が必要です。 心電図、肺機能、レントゲン検査、心エコー、冠動脈石灰化CT、循環器内科受診 (負荷心筋シンチや心臓カテーテル検査まで必要になる場合もあります)

2.感染症検査 症状はなくても体内に細菌が潜んでいる場合、免疫抑制剤内服によって菌が増殖し体中に広がる可能性があります。致命的になることもあるので術前に治療が必要です。 耳鼻科受診、眼科受診、歯科受診、結核検査

3.癌検診/人間ドック 症状がなくても体内に癌が潜んでいる場合、免疫抑制剤内服によって癌細胞が急速に増大する可能性があります。胸部CT、腹部造影CT、腹部エコー、甲状腺エコー、胃カメラ、大腸カメラ 女性:乳癌検診、子宮癌検診 男性:前立腺癌検査(採血)

4.膀胱機能検査 移植した腎臓は元々の膀胱につなぎます。現在は腎不全により尿が少ないため膀胱はあまり働いていませんが、術後十分働いてくれるか確認しておきます。 泌尿器科受診、膀胱造影検査 (膀胱から元々の腎臓への逆流がひどい場合は、移植手術時に原腎を摘出する場合もあります)

5.その他 頸動脈エコー、骨密度検査、糖尿病検査

※癌が見つかった場合は治療が必要ですので移植はできません ※癌が完全に治った後には、移植をうけることができます。 生体腎移植術前検査:レシピエント CT画像レシピエント

上記の検査が全て問題なければ移植手術が可能です。ドナーの必須検査費用は、後に移植を行った場合、保険でまかなわれるため本人に直接請求することはありません。しかしながら何らかの理由で移植に至らなかった場合には、それまでの検査費用を全額実費で請求させていただきますので事前に御了承ください。 また移植の保険でまかなわれるドナー検査は基本検査のみです。検査で病気が疑われ精密検査が必要となる場合は、(その検査費用に限って)自己負担での診療となりますので御了解ください。また人間ドック(癌検診)を受診して悪性疾患がないことを確認してもらいますが、検査費用は同じく本人負担となります。

移植の費用

特殊な移植

血液型不適合移植
糖尿病性腎症

腎移植は糖尿病を治す治療ではありません。移植した腎臓にも糖尿病の影響がでることを心配して、以前は糖尿病が原因の透析患者の移植はあまり行われませんでした。しかし現在透析導入の原因第1位は糖尿病患者であり、しかも透析開始後の予後は、他の原因で透析になった患者より著しく悪いという結果があります(10年生存率23%、15年生存率10%)。従って救命の観点からすれば、糖尿病透析患者こそ腎移植が必要ということになります。最近は糖尿病性腎症の移植も全国的に増加していますが、術後厳密な血糖コントロールが必要になります。当院でも移植患者の15%は糖尿病性腎症の患者です。

二次移植、高感作レシピエント

以前に移植を経験して透析再導入になった患者や、SLEなどの自己免疫性疾患が原因の患者は、他者に対する抗体が過剰に産生され反応性が高まった状態になっていることがあります(これを高感作レシピエント:high sensitizerといいます)。この場合、そのまま移植を行うと高頻度で激しい拒絶反応が起こります。従って、術前にドナーとのクロスマッチ検査を精密に行う必要がありますし、結果によっては移植が不可能と判断される場合もあります。血液型不適合移植に準じた処置を行い、抗体を除去することで移植を可能にできることもありますが、術後に拒絶反応を起こして治療に難渋した症例も経験しています。幸い現在全例で腎生着中で透析に戻った方はいません。通常の腎移植であればほぼ問題なく行えるほど移植医療は進歩していますが、この高感作レシピエントについてはまだ克服すべき課題が残されています。

小児腎移植

先天的な影響で幼少期に腎不全に至る子供もいます。血液透析は子供にはつらく、また学校生活との両立も難しいです。腹膜透析を行っている子が多いですが、腎不全の状態が続けば発育不良の原因にもなります。最もよい治療はやはり腎移植です。腎臓だけの問題であれば、移植を行うことでほぼ通常の学校生活を送ることができますし、成長も見込めます。問題は、体がちいさいことで手術や術後管理が難しいことと、ほぼ生体腎移植となるため生体ドナーが必要だということです。現在献腎移植においては小児優先のルールがあるため成人よりはチャンスがありますが、それでも移植を待つ期間が必要になります。当院では主に南部医療センター・こども医療センターの小児科医と連携して小児の腎移植も行っています。ただ技術的体制的な問題もあり、体重30kg以上の子供に限っています。これまで15歳以下の小児の腎移植は5例行い、皆さん元気に育っています。

レシピエント手術

術前準備
手術当日

早朝免疫抑制剤を内服し、9時前には病棟から手術室に向かいます(ドナーは8:30)。麻酔などの手術準備が行われ、10時頃に執刀となります。通常は右下腹部の後腹膜(腸骨窩)に移植を行いますので、約12-15cmの皮膚切開をおき、脚に向かう血管である外腸骨動脈および静脈を露出します。ドナーから摘出された腎臓が届くと、腎動静脈をそれぞれ外腸骨動静脈に端側吻合します。吻合が終了して腎臓に血液が流れだすと、生体腎移植の場合通常30分内には尿の流出が認められるようになります。尿管を自己の膀胱に吻合し、腎臓を適切な位置に納めれば手術は終了です。平均的には約4-5時間程度の手術で、出血も100-300mlくらいです。特殊な状況を除いて元々の腎臓は摘出しません。また腹膜透析の場合は、尿の流出を確認して透析用のカテーテルは抜去します(移植後の腹膜炎などを予防するため)。術後はICUに入室して管理します。

移植当日1 移植当日2 移植当日3 移植当日4
術後経過

手術翌日から飲水を開始し免疫抑制剤を内服します。術後2日間は移植した腎臓保護のためICUでベッド上安静となります。立ったり歩いたりは禁止です。創痛よりも腰痛を訴える方が多いです。2日目にICUから外科個室病棟に移ってからは離床しても構いません。食事も開始になります。術後尿量を保つため点滴を継続しますが、4日目には終了して点滴を抜きます。なるべく水分をたくさん摂取してもらい、尿をたくさん出すことで血清クレアチニン値が速やかに低下し、術後1週間では安定した腎機能が得られるようになります。その頃にはほぼ自由に動けるようになります。その後は術後2-4週間ほど免疫抑制剤の調節を行い、患者さんが自分の状態をしっかり自己管理できるようになれば退院となります。当院では退院まで術後平均23日で、術後の合併症で死亡したり、透析がやめられなかった人は一人もいません。

移植の経過:レシピエント
退院後通院

退院後3ヶ月までは月曜日に2週間ごとの通院です。毎回朝の免疫抑制剤を内服する前に血液検査を施行し、腎機能、薬剤血中濃度、全身状態をチェックします。3ヶ月後に移植した腎臓の状態を確認するため腎生検を行います。通常1泊2日の入院です。結果が問題なければ、免疫抑制剤の減量を行い、通院も月1回になります。術後半年も過ぎれば拒絶反応が起こる心配も減ってきますが、1年間は腎機能不安定、体調不良などで入院加療を要することもしばしばです。術後1年目に腎臓の状態を見るために腎生検を行います(当院では腎臓の状態を確実に把握するため術後3ヶ月目、1年目、5年目の腎生検は基本全例で施行しています)。術後1年を過ぎるとほぼ安定した腎機能が得られ、それに伴い日常生活も安定してきます。定期的な通院・検査と確実な免疫抑制剤の内服を行えれば、通常の方と変わりない生活が可能になります。現在移植腎の平均生着期間は17年ほどと言われていますが、今後さらに改善が見込まれています。当院ではできるだけ長く移植腎が働き続けるようにチームでサポートしていきます。

ドナー手術

術前準備
手術当日

8:30前には病棟から手術室に向かいます(レシピエントは8:40頃)。麻酔などの手術準備が行われ、9時過ぎ頃に執刀となります。手術の負担が少なくなるように当院ではカメラを使った鏡視下手術を行っています。臍下に約6cmの皮膚切開をおき、側腹部に1cm大の創を3ヶ所加えて手術を行います(用手補助後腹膜腔鏡下腎臓摘出術:HARS)。腎機能に左右差がなければ、移植に有利な点を考慮して通常左腎を摘出します(腎静脈が長く採取できるため)。手術時間は約3時間で出血は少量です。輸血を行うことはまずありません。術後は外科個室病棟に戻ります。麻酔から覚醒すれば当日から飲水可能ですが、翌朝まではベッド上安静です。食事も出ません。麻酔の影響で術後嘔気を訴えることもありますが、徐々に回復していきます。

移植当日:ドナー1 移植当日:ドナー2 移植当日:ドナー3
術後経過

翌日には離床可能です。食事も開始します。傷は小さくしていますが無痛ではありません。創痛があれば鎮痛剤で対処しますがピークは2~3日くらいです。腎機能保持のため2日目までは点滴を行います。終了後はなるべく水分を摂ってもらいます。スムースに動けるようになれば退院です。早い人で4日目に退院した人もいますが、平均は翌週の火曜日、術後7日目で退院です。創部は吸収糸による埋没縫合を行い抜糸は不要です。 ドナーは元来病人ではないため、手術により健康に影響することがあってはならないと考えています。術後合併症なく無事に退院させることが何より大事です。当院ではこれまでドナーで術中に傷を大きく開ける開放手術に変更した症例は一例もありません。

移植の経過:ドナー
退院後通院

痛みや体調に問題がなければ、早期の日常復帰、仕事復帰は可能です。術後一ヶ月もすればほぼ術前と同様な体の状態になります。ただし腎臓が一つになっていますので、術後の健康管理には気をつけてもらいます。片腎になったからと言って病気になりやすくなることはありません。ただし腎臓に影響する病気(高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病など)になった場合、通常の方よりは注意が必要です。従ってこれらの病気を予防するために、当院では術後専門の腎臓内科医がドナーの定期観察を行っています。これまで術後にドナーが腎不全となった症例は経験していません。また年に一度は外科外来にて創部のチェックもしています。数年も経つと、ほとんどの傷は目立たないほど綺麗に治癒しています。

献腎移植への取り組み

当院は、2011年3月から献腎移植施設に認定され、2012年8月に第1例目の献腎移植を施行しています。献腎移植を受けるためにはあらかじめ日本臓器移植ネットワークに献腎登録を行う必要があります。現在沖縄県では県立中部病院、琉球大学病院、八重瀬会同仁病院、友愛会友愛医療センターの4施設が献腎移植を行える施設に認定されており、県立中部病院と友愛医療センターで新規登録をすることができます。

献腎登録について
レシピエントの選定

登録後、献腎移植までの平均待機年数は現在14年9ヶ月です。手術の日は忘れた頃に前触れもなく突然やってきます。臓器提供を希望するドナーの方が現れると、ネットワークに連絡が入り、レシピエントの選定が始まります。種々の条件をポイント化し、優先度の高い順にレシピエントリストが作成されます。お一人のドナーから二人のレシピエントに腎臓が移植されますので、上位2名が移植を受けることができます。

現在、献腎移植のレシピエント選定基準は以下のようになっています
1. 前提条件
(1)ABO型血液型が一致もしくは適合すること
(2)リンパ球交叉試験が陰性であること
(3)1年以内に更新手続きがなされていること
(4)C型肝炎要請ドナーの場合は、C型肝炎要請レシピエントのみ対象となる


2.優先順位
以下のポイントの合計が高い順
Ⅰ 県内の患者12p 同じブロック(例えば九州沖縄地区内の患者)6p
Ⅱ HLA適合度 0~14×1.15p
Ⅲ 待機日数(N)N<4014:N/365p N>4014:10+log1.74(N/365-9)p
Ⅳ 16歳未満 14p 16-19歳 12p


3. 具体的選択方法
(1)親族優先提供の意思表示がされている場合は、まず当該親族が優先される
(2)ドナーが20歳未満の場合、20歳未満のレシピエントを優先する
(3)血液型は適合より一致のものを優先する
(4)2.の合計ポイントが高い順


常に上位2名の方が移植を受けられるわけではありません。リスト上位でも当日体調不良で入院していたり、合併症が悪化して治療中である場合は、移植医が手術には不適当と判断する場合もあります。また当日に本人とどうしても連絡がつかないために、次の人に順番が回ってしまうこともありますので(臓器の保存に時間制限があるため早くレシピエントを決める必要があるため)、必ず連絡が取れる番号を登録してください。夜中に電話がかかってくることが多いです。

「献腎移植までの手術の流れ」については、下記リンクページでも詳細がわかります
https://jinentai.com/transplant/tips/3_2

献腎移植が決まったら

ネットワークではリストが作成されると、その上位者が登録する移植施設の移植医にまず連絡を取ります。その後、移植医から登録患者に手術を受けるかどうかの意思確認の電話が入ります。その際、最近の体調と1年以内の輸血の有無について確認します。手術希望であれば、直ちに移植病院を受診することになります。(献腎移植は緊急手術です)急いで手術のための検査を行い、必要であれば透析を行います。医師から手術の説明を受け、移植の意思にゆるぎなければ免疫抑制剤の内服を開始して、臓器が搬送されてくるのを待ちます。臓器の摘出はドナーの方が亡くなったあとに始まります。従って、いつ移植手術になるかはわかりません。入院して直ちに手術になることもあれば、しばらく待つ場合もあります。
移植手術そのものは生態腎移植の場合と大きくは変わりません(生体腎移植:レシピエント手術の項目参照)。ただし、ドナーの死戦期に腎臓がダメージを受けていることが多く、移植後腎機能が回復するのに時間がかかります(Delayed graft function:DGF)。生体腎移植であれば移植直後から尿が作られ、透析は不要になるケースがほとんどですが、献腎移植の場合、数日から数週間は透析をしながら尿が作られるのを待つことになります。稀にですが、最後まで腎機能が回復せず、移植をしたものの透析から離脱できないこともあり、これをPrimary non function:PNFといいます。ドナーが高齢であったり、死戦期でのダメージが大きすぎたりする場合に見られることがありますが、これを予測することは大変難しいです。当院ではこれまで14例の献腎移植を行いましたが、透析離脱できなかった方はいません。いったん移植を受けると献腎登録のリストからは自動的に削除されます。移植後腎機能が廃絶して再度献腎移植を希望する場合は、また最初から登録して順番待ちとなります。ただPNFの場合には、そのまま待機が継続されます。

献腎移植の現況

現在献腎移植を希望してネットワークに登録している人は全国で約12,000名います。一方、臓器提供をされる方は年間約100名程で、献腎移植の件数は毎年200件ほどです。本邦での腎移植件数は年々増加していますが、生体腎移植の増加によるもので献腎移植の件数はほとんど増えません。そのため献腎移植の待機期間がどんどん長くなっています。現在は10年以上待たないと移植が受けられない状況です。ちなみに当院での献腎移植14名の平均待機年数は18年でした。

当院の腎移植件数の推移

臓器提供促進への取り組み

献腎移植を推進するにはドナーの増加が不可欠です。当院では院内での臓器提供促進にも取り組んでいます。ただし、この臓器提供活動は移植を待つレシピエントのためだけに行なっているのではありません。

移植に関する4つの権利
当院での取り組み

当院では、患者の臓器提供の権利が損なわれないように、適応のある患者にはもれなくオプション提示(意思確認)が行なわれるように配慮しています。しかし担当医から臓器提供の意思確認を切り出しにくいこともあります。その場合、沖縄県が作成したオプション提示のパンフレットを家族に渡すだけですむようにしています。また新しい健康保険証や運転免許証の裏面にも意思確認の項目がありますので皆さんも一度ご確認ください。全国世論調査では国民の約4割が死後臓器を提供してもよいと答えています。しかし年間の提供者が100名に満たないのは、現場できちんと意思の確認が出来ていないことが原因の一つと考えられます。臓器提供が増えれば、それで命を救われる患者さんがたくさんいます。当院では脳死下、心停止下どちらの提供も可能です。

臓器提供の実際

残念ながら最善を尽くしても救命できないとなった場合、医療者が患者にしてあげられる最後のこととして臓器提供の希望を家族に確認します。もし患者本人の意思が不明でも家族の希望があれば提供は可能です。当院では脳死下でも心停止下でも臓器提供が可能であり、家族の要望に沿います。臓器提供希望もしくは前向きに考えたいという場合、病院は県コーディネーターに連絡して来院してもらいます。コーディネーターは家族に臓器提供についての詳しい説明をします。家族は、この時点で家族は説明を聞くだけで、提供が進んでいくわけではないので、これで断っても構いません。またその後、患者が亡くなるどの過程でも臓器提供を断ることができます。一度希望すれば話が決まってしまうわけではありませんので安心してください。臓器提供はあくまで善意で行なうものですので、見返りの金品などはないことをご了承ください。

親族優先提供について

2010年の臓器移植法改正以後、一親等以内の親族に優先して臓器を提供できるようになりました。ただし以下のような条件が必要になります。(一親等以内の親族とは、配偶者、子供、父母を指します)

1. 提供者は15歳以上で、事前に臓器提供の意思と親族優先提供の意思を書面により表示していること
2. 移植を希望する親族が臓器移植ネットワークに移植希望登録をしていること
3. 医学的に移植が可能な条件を満たしているということ
4. 「親族以外には提供しない」という意思表示であった場合には、臓器提供そのものを行わない
5. 自死(自殺)患者の場合には、たとえ上記条件を満たしていても親族優先提供はできない。(親族に臓器を提供する目的での自殺を防ぐため)

臓器提供者(ドナー)適応基準

提供できる臓器は、脳死下であれば、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、角膜となり、心停止下であれば、腎臓(膵臓)、角膜になります。一般的にドナーになるには以下の条件が必要です。(提供臓器によって多少条件が異なります) ドナー適応基準 従って、高齢の方や、癌で亡くなってしまう方、敗血症で亡くなってしまう方は希望があっても臓器提供はできません。また臓器摘出までの過程で、移植医の判断で臓器が移植に適さないとされる場合もあります。

臓器摘出までの流れ

コーディネーターの説明後、家族により臓器提供の書面での了解があれば、移植施設の責任者に連絡が入り、臓器摘出チームが編成されます。摘出チームは提供病院に来院して患者の状態を確認し、摘出の準備に入ります。心停止下提供の場合には、心停止後、臓器保存液を流すための点滴ルートを確保してもよいか家族に確認します。これにより臓器が良い状態で摘出できますが、ベッドの側での小手術が必要になります(カニュレーションといいます)。提出チームが直接家族と顔を会わせることはありません。全ては主治医を介して説明や確認が行なわれます。 準備が整ったら患者が亡くなるのを待ちます。脳死下提供であれば法的脳死判定を行います。(※法的脳死判定は脳死下臓器提供を行う場合にのみ実施されます。複数の専門医により、法的に定まった厳密な状況・手順に則って行われます。時間をあけて2回の判定が行われ、全ての条件を満たした場合のみ脳死と診断されます。2回目の脳死判定終了時刻が患者の死亡時刻となります。)
死亡が確定するまでの間は、必要な治療は継続されます。臓器提供のために治療を中止したり、死期を早めたりすることは絶対にありません。摘出は患者がその命をまっとうした後から始まることです。家族は最後の瞬間まで患者に付き添うことができます。脳死下提供の場合は、脳死判定後に臓器摘出時間が決まります。手術室に搬入されるときに最後のお別れをしてもらいます。心停止下提供の場合、心臓が止まった時から腎臓には血液が流れなくなり、細胞が死んでいきますのであまりに長い時間が経過すると腎臓が移植に適さない状態になってしまします。従って短時間(できれば5分程度)でのお別れをお願いしています。事前に点滴ルートが確保されていれば直ちに臓器の保存液を流して手術室に搬入します(ルートがなければ手術室で開腹後に保存液を流すことになります)。摘出手術の時間は提供される臓器の種類によって変わります。通常は3-4週間ほどですが、心停止下の腎臓摘出などは早ければ1時間ほどで終了します。傷を閉じて体をきれいにした後、家族にお渡しします。死亡後に行われた摘出手術やその他の処置の費用を患者、家族に請求することはありません。その後退院までの流れや手続きは通常に亡くなった場合と変わりません。基本的に、ドナーおよびレシピエントは臓器を誰に提供したか、誰から戴いたか判らないようになっています。レシピエントがドナーにその感謝の意を伝えたい場合は、コーディネーターを通じて手紙などのやり取りを行うことが可能です。

教育啓蒙・研究学会活動への取り組み

当院では、移植医療に関わる全てのスタッフが移植についての十分な知識を持つことが、安全で質の高い医療を患者に提供するために必要と考えています。また常に進歩し続ける移植医療の情報をアップデートしていくことも大切です。さらには近隣の透析施設スタッフ、腎不全患者への情報提供、教育も最適な治療を患者に施すために役立つと思われます。そして一般の方が腎移植あるいは臓器提供について触れる機会を作ることで社会的に移植医療が推進されるきっかけになると信じています。

当院では定期的に以下のような活動を行なっています。
◇院内講演会(院内職員対象) ◇部署別勉強会(病棟、ICU、手術室などの看護師対象)
◇移植術前カンファレンス(移植医、腎臓内科医) ◇移植勉強会(透析施設対象) ◇腎移植説明会(透析患者対象)
◇腎移植市民フォーラム(一般対象)
◆日本臨床腎移植学会(研究発表) ◆日本移植学会(研究発表) ◆九州腎移植研究会(研究発表)
◆沖縄県臓器移植臨床研究会(研究発表) ◆院内研究発表会
☆沖縄県コーディネーター会議 ☆沖縄県臓器移植推進員会

また医療関係者対象に実際の移植手術見学も行なっています(希望される方は地域連携室に連絡してください)

1型糖尿病に対する膵臓移植について

血糖をコントロールするには膵臓で作られるインスリンというホルモンが必須です。しかし病気でこのインスリンが作られなくなると糖尿病になってしまい、インスリン自己注射を一生続けることになります。これを1型糖尿病といい一般に若年者で発症します。肥満や生活習慣病が原因で起こる2型糖尿病(インスリンは作られる)と違って、1型では容易に高血糖や低血糖を生じ、意識消失で病院に搬送されるなど生命を脅かすこともしばしばです。またこの状態で10年、20年を経過すると腎臓に影響が出て、腎不全に至り透析導入となる場合が殆どです。糖尿病性腎症で透析になった場合は、一般的に予後が短いというデータがあります。このような1型糖尿病患者を根本的に治療する方法として膵臓移植があります。腎不全で透析を行なっている患者には膵腎同時移植となります。これによりインスリンを打つ必要もなくなりますし透析も不要になります。何より寿命を延ばす事が出来ます。

膵臓移植レシピエント適応基準

膵臓移植(膵腎同時移植)の場合、脳死ドナーから提供をうける脳死下移植がほとんどです。心停止下移植や生体移植も可能ですが、成績や生体ドナーのリスクから現在はほぼ行われていません。脳死下移植を受けるためには日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。また膵臓移植はネットワークの認定を受けた施設でのみ可能で、全国で18施設(2019年現在)ありますが、沖縄県では施行できません。当院と医療提携を行っている九州大学病院は、日本で最も膵臓移植(膵腎同時移植)を行っている施設のひとつで治療成績も良好です。当院では、手術適応のある患者さんを九州大学に紹介しており、沖縄でのネットワーク登録および術後の通院管理が可能です。
最近は全国的には脳死下ドナーが増加しており、待機期間も以前に比べて短くなってきています(3年半)。現在沖縄県内で膵腎同時移植を受けた患者さんが通院しているのは当院のみで、10名ほどが通院しています。インスリン注射も透析も不要になり人生が一変したという方もいます。さらに現在手術を待機している患者さんも数人います。膵臓移植(膵腎同時移植)を考えてみたい方は、是非一度外来を受診してみてください。

※生命の危機にあるということで、膵臓移植の対象は1型糖尿病患者に限られています。2型糖尿病の方は対象になりませんのでご留意ください。

外部リンク

移植外科についての関連情報

移植外科の診療に関するお問い合わせ

友愛医療センター
月〜金:8:30〜17:30 / 土:8:30〜12:30

098-850-3811